講師:川向肇兵庫県立大学准教授 主催 : 神戸まちづくり研究所&兵庫県立大学
レクチャー・意見交換 「地図を使って地域を元気に Ⅱ」


【主な話題】
1 写真データから地図を作る流れ
2 スマートフォンの位置情報設定
3 写真データのPC取り込みと整理
4 F6 Exifによる位置情報の抽出
5 スプレッドシートでの座標変換
6 地理院地図への読み込み
7 スマホGPSの精度と実用性
8 位置情報付き写真の社会的活用
9 公開データとプライバシーへの配慮
10 統計データやオープンデータの活用
11 QGIS・衛星データ・AI分析への展開
12 地域課題への応用例
13 今後の活動と次回予定
質疑
兵庫県立大学の川向准教授を講師に迎え、「地図を使って地域をより豊かに」をテーマとした第2回目の勉強会を開催しました。
今回は、写真から緯度・経度などの情報を読み取り、地図に落とし込む方法を中心に、ミニレクチャーをして頂き、実習しながら、
意見交換をすることができました
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1 写真データから地図を作る流れ
今回の講習は、スマートフォンで撮影した写真に含まれる位置情報を取り出し、それを地図上に表示するまでの流れを学ぶ内容であった。写真にはExif(イグジフ)という付属情報が含まれており、撮影日時や機種情報のほか、設定によっては緯度・経度などのGPS情報も記録される。
2 スマートフォンの位置情報設定
スマートフォンで写真に位置情報を付けるには、設定画面でカメラアプリに位置情報の利用を許可する必要がある。「アプリの使用中のみ許可」を選ぶと、撮影した写真に座標情報が付く。ただし、位置情報付きの写真をSNSにそのまま投稿すると、自宅や行動場所が分かってしまう危険があるため、便利さとプライバシーの両面に注意が必要である。
3 写真データのPC取り込みと整理
スマートフォン内の写真は、USBケーブルでPCに接続し、スマホ側で「ファイル転送」を選ぶことで取り出せる。写真を扱う際には、作業用フォルダーを作って整理することが重要である。ただし、デスクトップに大量のファイルやフォルダーを置くとPCの動作が重くなることがあるため、保存場所にも気を配る必要がある。
4 F6 Exifによる位置情報の抽出
写真から位置情報を抜き出すために、フリーソフト「F6 Exif」を使用した。f6exif.exeを起動し、「ツール」メニューから「CSV出力」を選び、緯度・経度・高度などのGPS項目を指定して出力すると、写真ごとの位置情報をCSVファイルとして取り出せる。CSVは表計算ソフトで扱える形式であり、後の地図表示に使う基礎データとなる。
5 スプレッドシートでの座標変換
F6 Exifで取り出した緯度・経度は、そのままでは地図ソフトで扱いやすい10進法の数値になっていない場合がある。そこで、Googleスプレッドシートを使って、度・分・秒で表された文字列を数値に変換する作業を行った。MID関数やFIND関数を使って必要な部分を抜き出し、「度+分÷60+秒÷3600」という式で10進法に変換する。一度数式を作れば、多数のデータにも一括適用でき、手入力によるミスを防ぐことができる。
6 地理院地図への読み込み
加工したCSVデータは、地理院地図に読み込ませることで地図上に点として表示できる。ブラウザで地理院地図を開き、「作図・ファイル」機能からCSVを読み込むと、撮影地点や移動経路が地図上に表れる。例として、播磨中央公園のバラ園付近や、飛行機から撮影した羽田空港への進入経路などが示された。
7 スマホGPSの精度と実用性
スマートフォンのGPSは、専用機器ほど精密ではないため、点が一直線に並んだり、細かな位置まで表現できなかったりすることがある。しかし、地域調査や学習活動で使うには十分実用的であり、防災マップ、地域の魅力マップ、危険箇所マップなどへの応用が考えられる。
8 位置情報付き写真の社会的活用
位置情報付き写真は、工事現場の証拠写真など、実社会でも使われている。工事の開始前・作業中・完了後の写真に位置情報が付いていれば、「どこで撮ったか」をごまかしにくくなる。いわば「嘘がつけない仕組み」として活用されている。
9 公開データとプライバシーへの配慮
位置情報を細かく出しすぎることには注意が必要である。交通事故、害虫被害、災害リスクなどのデータは、詳細に出しすぎると個人や地域への誤解、風評被害につながるおそれがある。そのため、メッシュ状に区切って密度で示すなど、あえて情報をぼかして公開する工夫も大切である。
10 統計データやオープンデータの活用
講習では、写真の位置情報だけでなく、統計データやオープンデータの活用にも話が広がった。jSTAT MAPを使うと、国勢調査などの人口データを町丁・字単位やメッシュ単位で地図化できる。特にメッシュデータは、行政区域の変更に左右されにくく、経年変化を比較するのに向いている。
11 QGIS・衛星データ・AI分析への展開
さらに、JAXAの衛星データ、QGIS、AIやスーパーコンピュータを使った分析事例も紹介された。QGISは本格的な地理情報システムを扱う無料ソフトであり、地図データ、衛星データ、統計データなどを重ねて分析できる。ただし、データ容量が大きく、操作もやや専門的であるため、初めての人はまず地理院地図やjSTAT MAPなど、ブラウザで使える道具から始めるのがよい。
12 地域課題への応用例
地域課題への応用としては、ジャンボタニシなどの害虫被害の分布把握、PTAによる通学路の安全マップ、防災上の危険箇所の可視化、浸水想定区域と高齢者施設・人口分布の重ね合わせなどが紹介された。地図にすることで、単なる数字や記録が「どこで何が起きているか」という形で見えやすくなる。
13 今後の活動と次回予定
最後に、オープンデータを使って地域課題を考える「アーバンデータチャレンジ」の紹介があった。身近な地域の問題をデータで見つめ、地図や分析結果としてまとめることで、活動報告やコンテスト応募にもつなげられる。基本的な操作に関して、わからなかった点があれば、通常サロン(各月第2週以降)でアドバイザーに質問すれば良い。次回(註:10月頃想定・改めてサロンHP「メインページー今後の予定」で予告します)は、作成した地図をWebサイトに埋め込み、拡大・縮小しながら見られる形にする方法を扱うこととしたい。
【質疑】
1. スマートフォンの設定と位置情報に関する質疑
- Q: 写真を撮る時に位置情報のデータを入れるには設定が必要ですか。
- A: 設定が必要です。スマートフォンの「設定」内の「位置情報」から、カメラアプリに対して「使用中のみ許可」などを選択してください,。
- Q: 山の上で撮った写真を家からアップロードした時、位置情報はどこになりますか。
- A: アップロード場所ではなく、「撮影した場所」のデータが出ます。そのため、山の上で撮ったのであれば山のデータになります。
- Q: 撮影した写真から後から位置情報を消すことはできますか。
- A: 削除するアプリケーションやWebサービスもありますが、基本的には手間がかかる高度な作業になります。SNSなどで自宅を特定されたくない場合は、最初から設定をオフにしておくことが推奨されます。
- Q: スマートフォンのGPS精度を上げることはできないのですか。
- A: 技術的には可能ですが、精度を上げると部品代が高くなってしまうため、安価なスマホでは限界があります。
- Q: 業務用の高精度なカメラを選ぶ際のキーワードはありますか。
- A: 「GPS搭載」「工事用カメラ」などがキーワードです。4〜5万円程度します。
2. データの加工と地理院地図に関する質疑
- Q: 関数の計算で、数字を直接入れるのではなくセルの番号(E34など)を指定すれば自動化できるのではないですか。
- A: 可能です。ただ、初心者が理解しやすいよう、まずは文字として抜き出す工程と計算する工程を分けて説明しています。慣れれば一挙に関数で処理することもできます,。
- Q: 地理院地図で住所しか出てこないが、どうすればよいですか。
- A: 読み込み設定の際、列の選択で「緯度」「経度」が正しく指定されているか確認してください。
- Q: 地図上の点が一直線に綺麗に並んでいるのは、数値の精度のせいですか。
- A: はい。スマートフォンのGPSでは「秒」以下の細かい数値が取れないことがあり、その結果、座標が丸められて一直線上に並んで見えることがあります。
3. 衛星データとコンテストに関する質疑
- Q: JAXAの無償衛星データ(地表温度など)を使って「アーバンデータチャレンジ」に応募してもよいか。
- A: 良いアイデアですが、Web上だけでは処理できないため、「QGIS」という専用の解析ソフトをPCにインストールして作業する必要があります,。
4. 講義資料と学習に関する質疑
・Q: 講師(川向先生)の名前で検索するにはどうすればよいですか。
- A: 「県立大 社会情報科学 川向研究室」で検索してください。Webサイトに講義資料や動画を公開しています。
Q: 公開されている講義動画を見るのにどれくらいの時間がかかりますか。
・A: 1回1時間半の講義が15回分あります。
参加者コメント
・前回より難しかったです。が、アーバン・データ・チャレンジ(地域課題の解決を目的として、地方自治体・企業・大学・市民活動組織等が、データを活用してチャレンジするコンテスト。)は面白そう。
・データを詳細に表記するとともに、だれが見るか、何を伝えるか、どのように影響を及ぼしたいかによって、データを公表する方法を分けるということも学んだ。また、教えて頂いた手法をもとに、アーバンデータチャレンジに参加することを促していただいたので、今夏、教室の生徒と一緒にチャレンジしてみようと考えた。
・情報データを組み合わせて地図に置いていくことで、社会課題の解決に結びつくということを改めて教えていただきました。操作などが能力的についていけず、もっとパソコン操作がわかれば地域課題解決に自分も参加できるのにと思っています。
・初めて参加させていただきました。初心者のまだその前ですので、用語もほぼわかりませんでした。ただ、自分の住む地域をあらゆる面でデータ化し、(すでに行われているかもですが)本当に必要なもの、不要なものも知りたいと思いました。努力で一歩でも進めればうれしいかと思います。「今日より若い日はない」と決めて、がんばれればと思います。
・難しいですが、2回目で少し慣れてきました。面白く興味深いお話でした。地域の情報をわかりやすく公開することを考えたい。
・データを整えるための関数がとても難しかったです。データを地図に取り込む際に7→5にタイトルを変えたのはなぜ?
(久戸瀬註:経度緯度の列の設定(データの所在する列番号の指定)のことでしょうか)
・GISで何が使いやすいか、いろいろ試してみたいです。
・地図の作り方と情報の出し方は勉強になりました。あとはわかりませんでした。
(久戸瀬註:わからなかった点は、ご一緒に、ゆっくりとおさらいをしましょう。)
・地図はわかりやすいが、個人情報に注意する。伝えることとぼかし方のバランスが大切、オープンデータから地域課題を見つけられることがわかった。
・スマホ写真から地図を作成することに、興味が広くわきました。ぜひ試したいです。
・カメラの位置情報をとれることを教えてくださり、ありがとうございました。災害後の復興の研究をしているので、定点観測に活用させていただきます。
・地域データとメッシュデータの利用方法が確認できた。
・QGISへの期待がふくらんだ。地元住民のスマホ参加のイメージがわいてきた。
・風と木のサロンリンク版でQGISについて学習しようと思いました。 ※下記リンク参照
講師から紹介のあったサイト
(リンク)
川向研究室:講師からご提供いただいた資料(7月2日用)風と木のサロンリンク版
★★★当日(7月2日)の資料のほか、QGISをダウンロードして,インストールするところから,地理院タイルを張る方法,総務省の統計地理情報システムのサイトから特定の市町村の境界データをダウンロードして,人口の主題図を作るところまでの手順の紹介資料と動画へのリンクが含まれています.


